ダイヤモンド経営者倶楽部 編 協力 東京中小企業投資育成
本書は、東京中小企業投資育成が出資した中小企業のうち27社にスポットを当てて、各社の経営姿勢やエピソードを紹介した本です。
日本を支えているが、名前は知られていない中小企業
日本の企業の約99%は中小企業です。
つまり、日本経済の発展を支えているのは中小企業であるということです。
ただ、中小企業が生み出した高度な技術は、大手企業の製品の一部になっているため、残念ながら一般の人は、それらの会社の名前を知らないことが多いものですし、まして会社の内容まで知ることはできないものですが、本書では、そのような素晴らしい企業が発展してきた経緯を知ることができます。
各社のモノづくりに対する思いや経営姿勢が描かれている
掲載されている各社の業種は様々ですが、独自技術の開発を目指して不断の努力をされています。
そして世界を意識し、現状の成果に満足せず、常に新しいものを目指している姿が描かれています。
また、各社に共通してみられる経営姿勢は、「従業員を大切にして、社員の成長を願う気持ちを持つこと」「製品が世の中の役に立つこと」「自社の利益だけでなく、業界や地域の発展のために尽くすこと」でした。
経営者、銀行員など金融機関勤務の方々、税理士など士業の方々にお勧め
本書で取り上げられた中小企業は製造業ですが、その経営姿勢は製造業以外の中小企業の経営者のみなさまにもお役に立つ内容だと思います。
また、日頃、中小企業の経営に深く関わっている銀行員など金融機関に勤務されている方々、税理士などの士業の方々にもお読み頂きたい内容です。
会社の決算書は、ある一定期間の企業業績の結果を示しており、企業の財務分析の対象になります。
決算書の数値はとても重要ですが、新しい技術を生み出すためには、トライ&エラーを繰り返し、決算書の数値にあらわれるまでには、長期間にわたることがあります。
中小企業が開発した高度な技術があるからこそ、スマートフォンも、F1レースマシンも、人工衛星、ハイブリッドカーも世の中に存在しており、その技術を生み出すまでには、長い期間と大変なご努力があったはずです。
決算書は必ずしも、これらの努力を短期的には表現していないものだという観点に立つと、銀行員の方々や税理士などの士業の方々が中小企業をサポートする内容も増えていくのでないでしょうか。
~ご参考~ 中小企業投資育成とは ~
中小企業投資育成とは、経済産業省の監督のもとで中小企業に出資を行い経営の安定化と経営承継をサポートする「投資」の機能と、後継者問題や人材育成、法律・税務など様々な経営者の悩みを解決する「育成」の機能で企業をバックアップする会社です。
👉東京中小企業投資育成株式会社様のwebsite
民間のファンドと異なり、中小企業の株式を安定株主として長期保有し、経営の独自性を尊重するスタンスを持っているので、中小企業にとっては強い味方です。
近年、親族での事業承継が難しいケースが増加しており、安定株主の存在は中小企業にとっても重要になっていますが、中小企業の安定株主になる人(企業)は限られている為、そんなケースでは中小企業投資育成は重要な存在です。
また、中小企業投資育成が出資することにより、結果的に自社株の評価が下がることもあり、事業承継の機会に出資受け入れを検討する企業もあるようです。
この仕組みについては、【事業承継がゼロからわかる本】に詳細にご説明しましたので、ご参照いただければ幸いです。