創業時は、兄弟3名でスタートした会社で、その後も一族だけで会社を続けてきました。
私は、創業者から引き継いだ自社株を所有しており、その持分は、発行済株式総数の3分の1です。
私以外の株主が所有する自社株は、相続の際に子供たちに分けられてきたために、今では親族の株主が20名を超えており、会社を応援してくれる親族がいる反面、会社の経営を理解していない株主も増え、親族といっても関係が希薄になっているケースも多くなりました。
今のところ、大きな問題はありませんが、株主総会の際に、親族株主にお伺いをたてるのも、手間がかかることではあります。
また、現在の株主が、相続の際に自社株を子供たちに均等に渡す方針を持っている人が多いとすれば、このままでは、ますます株主数が増大する不安を持っています。
事業承継に際し、株主数が多い状態でいいのか不安があります。
現在は問題が起きていませんが、今後は、次のような問題が発生し、経営がスムーズでなくなる可能性があります。
株主総会で重要な事項を可決できるのは3分の2ですが、社長が自社株の3分の1しか確保していないので、今後、会社の意思決定がスムーズでなくなることや、株主から配当の増額や、自社株を高く買い取って欲しい等の要請がある可能性も懸念されます。
自社株は経営に関与する親族が所有すべきものであり、3分の2のシェアを確保することが好ましい状況です。
世代が下になるほど、親族の関係が希薄になるのは避けらず、交渉は複雑になるため、親族の関係が円満なうちに、買取交渉をすすめることが大切です。
買取交渉においては、下記のようにご説明いただくように、提案しました。
このような説明や対応方法は、業歴100年を超えるような老舗企業が創業家の結束を維持するために、実施しているものです。
買取交渉に際しては、当事者間では利害が対立したり、疑心暗鬼になることも考えられ、また株主全員を一同に会した説明会では、各株主が発言しにくいことも想定されたために、弊社が親族株主に対し、各ファミリー毎に説明を実施しました。
株式の買取価額の調整や、創業家の一員として自社株を保有したいとお考えの株主と調整を図り、約1年をかけて株式の買取を完了することができました。
次世代にバトンタッチしてからでは、問題がさらに複雑化する可能性があったので、早期にご相談をいただいて、良い解決が図れました